北海道遺産オフィシャルサイト

平取町アイヌ文化体験記 平取町アイヌ文化体験記

アイヌ伝統文化伝承とイオルを学ぶ旅

豊かな自然の中で育まれてきたアイヌ文化。その文化を学び、また実際に体験するモニターツアーが平取町で行われた。
平取町では様々なアイヌ文化体験が行われているが、今回は文化とともに「イオル(アイヌの伝統的な生活の場)」を学ぶ旅でもある。その内容をご紹介したい。

アイヌ文化と歴史を学ぶ

平取町立二風谷アイヌ文化博物館

まずは、平取町立二風谷アイヌ文化博物館内へ。 博物館はアイヌの民族文化を後世に伝えるとともに、伝統をふまえた新しい創造の源となることをめざしており「アイヌ伝統文化の今日的継承」をコンセプトとしている。標本資料は二風谷に在住していた民族文化研究家・萱野茂氏が収集・復元製作したものが基となっており、一部は国の重要有形民族文化財の指定を受けている。一方で地元工芸作家が製作した、伝統的手法と現代の感性が融合した作品も展示されており、「現在」のアイヌ文化を伝えている。

学芸員による解説を聞きながら見学。 アイヌの人々が日常的に使用していた民具を紹介するコーナーでは、衣類・家具・生活雑貨などを見ることができる。写真などで目にすることがある着物や手甲、脚絆には一針一針細かい刺繍が施されており、実際に見るとその美しさと丁寧な手仕事に圧倒される。この文様には魔よけの意味もあるそうだ。

精神文化を伝えるコーナーでは、祭壇の再現や祭事の際に使用した民具などを見ることができるほか、口承文芸である、ユカラ(英雄叙事詩)、カムイユカラ(神謡)などを鑑賞することができる。かつては死者の弔いにユカラを聞かせることもあったという。その場合は必ず最後まで語り終る。話の途中で終えてしまうと、続きを聞きたくて死者がこの世に戻ってきてしまうのだそうだ。

農耕や狩猟・運搬に関する民具を展示するコーナーでは、丸木舟のようなダイナミックな工芸を見ることができる。船の先にイナウ(御幣)がたてられている。神に無事を祈る気持ちが伝わってくる。

1 一面に文様が施された着物             2 儀式に使用されたトゥキ(杯)とトゥキパスイ(捧酒箸) 3 1本の木から作られた丸木舟
1ページ 2ページ 3ページ 4ページ 5ページ 6ページ