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北海道遺産探訪記「オホーツク地域の北海道遺産を訪ねて」 北海道遺産探訪記「オホーツク地域の北海道遺産を訪ねて」

オホーツク地域の北海道遺産を訪ねて

今回のモニターツアーは、遠軽地域の白滝遺跡群、森林鉄道蒸気機関車「雨宮21号」などを訪ねるものであったが、行く先々で専門家の方々の解説があったため、それぞれのものについてよく理解することができた。実際にツアーを実施する場合には、そうしたインタープリター(解説者)の存在が重要になってくるだろう。また、オホーツク地域には、白滝遺跡以外にも北見の常呂遺跡や網走のモヨロ貝塚など貴重な遺跡が多い。それらもあわせてオホーツク地域で栄えた北方文化を学ぶ旅も魅力的ではないだろうか。歴史の分野以外にもオホーツクにはさまざまな分野の遺産が点在している。その他の北海道遺産も紹介しておきたい。

「ピアソン記念館」(北見市)

1 小高い丘に立つピアソン記念館。2 室内にはランプの柔らかな光が灯る。3 夫妻が愛用していたオルガン。

ピアソン記念館は、アメリカ人宣教師ピアソン夫妻の私邸として1914(大正3年)に建てられた。ピアソン夫妻は1893(明治26)年に来道、函館、札幌、小樽、旭川など拠点を移しながら、伝道活動を行い、開拓者たちに忍耐と勇気と希望を与え続けた。また、夫妻は、布教のかたわら、廃娼運動やアイヌ民族援助にも尽力。宗教を超えた人間愛がふたりの生き方に貫かれていた。夫妻の志の高い生き方は、北見の精神文化のよりどころとして多くの市民に親しまれている。

北見は夫妻が最後の伝道の地としてたどり着いた場所。「三柏(みかしわ)の丘」として愛した高台に私邸を建てた。設計者はウィリアム・メレル・ヴォーリズ。ヴォーリズは日本各地で数々の名建築の設計を行い、日本の建築史に大きな足跡を残した人物である。

ピアソン邸は、夫妻が任期満了で帰国した後、宣教師や信者の私邸、児童相談所と主を変えたが、現在は「ピアソン記念館」としてNPO法人ピアソン会が運営を行っており、オルガンや机などピアソン夫妻にまつわるさまざまな資料が展示されている。

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